爪が短い深爪に悩んでいる方は、年代を問わずに多くいらっしゃいます。深爪は見た目の問題だけではなく、ひどい場合には痛みや炎症を伴うこともあるため、思いのほか軽視できません!
そこでここでは、深爪が引き起こす疾患の代表例を挙げた後、深爪へのおすすめの対処方法をご紹介します。
深爪ってなに?
爪を切りすぎた時などに「深爪をした!」と表現することはよくあるのではないでしょうか?
深爪とは、
1.爪部分を正面から見た時に、指先の肌部分が見えている(爪のほうが指よりも短い)
2.(1よりもさらに爪が短く)本来は爪が乗っている部分「爪床(そうしょう)」が見えている
という状態を指します。
特に2の「爪床が見えている」場合、爪にトラブルが起こりやすくなっており、炎症などの疾患が起こる可能性が高いと言えます。
【爪床って?】
一般的に「爪」と呼ばれるパーツは、正式には「爪甲(そうこう)」「ネイルプレート」という名称があります。
その爪甲が乗っている皮膚の部分を「爪床(そうしょう)」と言います。皮膚には通常、一番上に「表皮層」、その下に「真皮層」が重なっています。
しかしこの爪部分は特殊であり、爪床が真皮層を担い、爪甲が表皮層を担っています。
(真皮層のように)爪床の多くはコラーゲンで構成されており、水分がキープされています。そこで爪甲は、爪床から水分をもらっています。
また爪床には毛細血管が集まっているため、血液によって栄養分なども運ばれています。
通常ならば爪甲と爪床はつながっているために、簡単に剥がれることはありません。そのため「爪床が見えている」ほどの深爪の場合、通常よりも炎症などの疾患になりやすいのです。
深爪が引き起こす疾患例
では深爪になると、どのような疾患になりやすいのでしょうか。
1.爪周囲炎(ひょう疽)
深爪や爪を噛むことなどによって、化膿菌が侵入し、爪の根元に向かって化膿が進行します。これを総称して「爪周囲炎」と言います。
※特に指先の腹側が化膿した症状は、「ひょう疽」と呼びます。
痛み、腫れ、膿が溜まることで黄色くなる症状が現れます。より進行すると爪の根元から爪の下へと膿が広がります。
爪の下まで膿が広がっている場合は、整形外科で爪を切除して膿を出す方法が採られます。
2.巻き爪
足の爪にのみ起こるイメージの「巻き爪」ですが、実際には手の爪にも巻き爪は起こります。
巻き爪の原因は、深爪によって爪が生えていない部分の皮膚が硬くなり、盛り上がることにあります。皮膚が盛り上がったところに爪が伸びないため、爪の生え方が変形してしまうのです。
巻き爪の代表的なものが「湾曲爪」――これは爪の両端が湾曲(カーブに曲がる)し、皮膚・肉に食い込んで痛みを引き起こす症状です。
3.陥入爪
巻き爪と一緒に考えられることもある「陥入爪」ですが、巻き爪が「爪全体が丸まって肉に食い込む」のに対して、陥入爪は「爪の端のみが変形して、ほぼ垂直にザクっと肉に食い込む」症状を指します。
深爪によって爪が弱り、外部からの衝撃に影響を受けて陥入爪になることがあります。
深爪の治し方
深爪を治すには、そのまま爪を伸ばせばよいのでは? と思われる方もいるかもしれませんね。
しかしすでに深爪が常態化している方の場合、単純に伸ばすだけで残念ながら解決しません。そこで次に、深爪の治し方について見ていきましょう。
【適切な爪の長さって?】
そもそも「適切な爪の長さ」とはどの程度なのでしょうか。
皮膚科医によると、「2~3mm」が適切とのこと。この「2~3mm」とは、爪(爪甲)と皮膚(爪床)をつなぐ「爪下皮」(英語で「ハイポニキウム」)部分が「2~3mm」あればよい、という意味です。
爪下皮は爪と皮膚のあいだに細菌が侵入することを防ぐ役割があるため、深爪によって取り去ると、先述の疾患になりやすくなってしまうのです。
そのため痛みを感じるほど深爪をしている場合、この爪下皮まで切り取ってしまっていると考えられます。
【適切な爪の形って?】
深爪による巻き爪症状が出ないためには、「スクエア型」がオススメです。
両端をカーブに切り取ってしまうと、元々カーブを描いて生えてくる爪がより巻いてしまい、巻き爪となって肉に食い込みやすくなってしまいます。
また爪が割れやすくなったり、剥がれやすくもなったりするため、特に巻き爪の懸念のある方は両端をまっすぐに切るスクエア型を心掛けましょう。
※爪切りで爪を切ると、衝撃が大きく、爪を傷める原因となります。ファイル(爪やすり)で丁寧に形・長さを整えることをオススメします。
【ネイルで深爪矯正・改善をする】
ネイルサロンで深爪の矯正をしてもらうことができます。また最近では、セルフジェルネイルで深爪矯正・改善・予防を行う方も増えてきています!
ではなぜジェルネイルを施すと、深爪の矯正や改善予防策となるのでしょうか。
その理由は、まず爪を補強することができるため、自爪がもろくて長く伸ばせない(=どうしても深爪になってしまう)場合に有効です。
ただしこの場合は、「サンディング不要」であったり、オフする際に自爪に負担をかけにくい成分のジェルネイルを選びましょう。
次に、もしも深爪の理由が「噛み癖、むしり癖」の場合、ジェルネイルを施すことで厚みが増し、必然的に爪を噛みちぎったりむしったりという行為ができないため、深爪を徐々に改善することができます。
深爪の程度にもよりますが、だいたい半年から1年ぐらいの期間を想定し、ゆっくりと伸ばしていくことを念頭に置いて行いましょう。
※ジェルネイルを施術する際は、自爪に疾患がない状態で行ってください。もしもすでに炎症や変形がある場合は、自己判断せずに専用の深爪矯正サロンや形成外科・皮膚科を受診するようにしましょう。
深爪は疾患の入り口
深爪の原因には、単に自爪を切りすぎる以外にも、精神的な問題が関係していることもあります。
ストレスを感じるときに「噛み癖、むしり癖」が出ていると自覚されている場合、ストレス解消を別の手段で行い、爪にダメージを与えないようにすることも重要です。
深爪は見た目だけの問題ではなく、疾患を引き起こす入り口となることを忘れずに、適切なケアを行ってくださいね。