素爪に関して気になることの上位によく挙げられるのが「爪の縦線」。
ネイルを施していると、あまり頻繁には素爪を見る機会がないかもしれませんが、意外に多くの方の爪に筋(スジ)が入っています。
そこでここでは、爪にできている縦線の原因と対策、また注意すべき爪の筋についてご説明します。
爪の構造
まずは簡単に爪の構造についてご説明します。
爪は、主にタンパク質の一種である繊維状の「ケラチン」で構成されており、爪の根元の皮膚下部分にある「爪母基」(別名「マトリックス」)で作られています。
ちなみに爪の根元に少し見える白い半月「ルヌラ」は、爪母基(マトリックス)の上部にあたり、完全な爪になる前の状態かつ水分を多く含んでいるため、白く見えると言われています。
大人の場合、爪が伸びる速さは1か月でおよそ3~5mmと言われていますが、新陳代謝が活発な成長期の子どもの場合は、さらに伸びるスピードが速くなります。
爪の縦線の原因
では爪の縦線(正式名称は「爪甲縦条」)ができるのは、どのような要因が絡んでいるのでしょうか。
多くの場合、その原因は「加齢による老化」と「乾燥」。つまり顔の皮膚と同じく、年齢を重ねたりスキンケアを怠って乾燥したりすると、爪もまたシワ(=縦線)ができやすくなってしまうのです。
加齢が原因の縦線の場合、一般的には50代以降から増えると言われています。
またストレスによる血行不良や睡眠不足、栄養不足によっても老化が進み、年齢に関係なく爪に縦線ができることは珍しくありません。
体の末端部分である爪にまで栄養が行き渡っていないということは、全身の栄養状態や血の巡りも良くないことが推測されます。
そのためハンドクリームやキューティクルオイルを爪部分に塗布しマッサージすることで、外から乾燥予防と潤いを与えるのはもちろんのこと、足りない栄養素を補って体の内側からもケアをする必要があるのです。
爪に良い栄養素
爪の縦線予防には、抗酸化作用のあるビタミンA(レチノール)、細胞の新陳代謝を促進し爪を強くするビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB12、葉酸など)、爪や皮膚を丈夫にするビタミンCの摂取がおすすめです。
また爪の主成分がタンパク質のケラチンであることから、タンパク質の摂取も爪に弾力を与えて丈夫にするためには欠かせません。
また亜鉛はタンパク質の合成を助けるため、合わせて摂取することが望まれます。
なお、貧血傾向にある場合は、血流にのって酸素を各細胞に運ぶ鉄分が不足している状態です。そのため爪にまで十分に酸素が届いていない「酸欠状態」であることから、爪が薄く割れやすくなってしまいます。
※鉄分不足の方は、爪が反り返る「スプーンネイル(匙状爪)」になりやすいため、縦線と合わせて爪の形状にもご注意ください。なお赤ちゃんのスプーンネイルは爪の薄さが原因であり、成長とともに治るため問題ありません。
【ビタミンAを含む食材例】
豚レバー、牛レバー、鶏レバー、魚類のレバー、ウナギ、ほたるいか、あなご、シソ、モロヘイヤ、ニンジン
【ビタミンB群を含む食材例】
豚肉(ひれ、レバー)、牛レバー、鶏レバー、ウナギ、カツオ、マグロ、サンマ、あさり、玄米、納豆、枝豆
【ビタミンCを含む食材例】
アセロラ、グァバ、赤ピーマン、黄ピーマン、青ピーマン、メキャベツ、ブロッコリー、ケール
【タンパク質を含む食材例】
肉類、魚介類、卵、大豆・大豆製品、牛乳・乳製品
【亜鉛を含む食材例】
牡蠣、牛肉、エビ、豆類、カシューナッツ、ホウレンソウ、ニンニク、ヨーグルト、
【鉄分を含む食材例】
豚レバー、牛レバー、鶏レバー、パセリ、納豆、カモ、油揚げ、あおのり、ひじき
黒い縦線には要注意!
もしも単なる筋ではなく、黒色の入った縦線がある場合は、皮膚ガンの一種である爪のメラノーマ(悪性黒色腫)の可能性があります。
爪が作られる場所である爪母基からメラノーマは出現し、線状に黒く広がっていきます。このメラノーマは進行が速いと言われており、処理が遅れると転移し、指を切断しなくてはいけないケースもあります。
もしも爪に黒い線や黒い塊状のものが見える時は、放置せずに早急に皮膚科など専門医を受診するようにしましょう。
※爪の黒い線がすべてメラノーマとは限りません。しかし別の疾患である可能性もあるため、気になる場合はやはり早急に受診してください。
爪の横線の原因
爪に横線ができている場合は、その部分が爪母基で作られている時期にストレス過多であったり、ドアに爪母基部分を挟むなどの外的要因があったり、といったことがうかがえます。
横線が現れた場合はその前からの生活習慣や爪への負担要因を考え、取り除くように心がけましょう。
爪を美しく育てよう!
爪の縦線や横線がどうしても気になる場合は、上述した栄養素の摂取や生活習慣の見直し、ストレス解消などの方法がおすすめですが、さらにバッファーで爪表面を削り、シャイナーで磨けばある程度の溝はなくなり、ピカピカになります。
ただしあまりに自爪を削りすぎると薄くなり、さらなる爪のトラブルを生んでしまうためご注意ください。また根本的に解決しなければ伸びてきた自爪部分には筋が入ったままとなります。
「爪は健康のバロメーター」とよく言われます。一時的な解決ではなく、体の内側から健康的になり、ツルンとした美しい自爪を生み出すように生活習慣に気を付けてくださいね。