ジェルネイルやマニキュアを施すと、なんとなく爪に圧迫感や息苦しさを感じる方がいらっしゃいます。中には「爪も呼吸しているから、ネイルをすると呼吸を妨げて呼吸困難になるから良くない」という意見も聞かれます。
確かに、ジェルネイルやマニキュアをすることで感じる不快感から、爪の呼吸への影響が心配になるかもしれませんね。
そこで、この記事では爪と呼吸、ネイルとの関係についてご説明します。
そもそも爪とは
爪の主成分はタンパク質の一種である「ケラチン」。さらに厳密に言えば、シスチン、グルタミン酸、ロイシン、アルギニンなど18種類のアミノ酸が結合して、ケラチンは作られています。
さらに、ケラチンは「(脂質が多く硫黄が少ない)軟ケラチン」と「(脂質が少なく硫黄が多い)硬ケラチン」に分けられます。その名の通り、軟ケラチンは軟らかく、皮膚組織に含まれているタンパク質であり、硬ケラチンは硬く、爪や髪の毛に含まれている違いがあるのです。
以上から、皮膚も爪もケラチンという構成要素は同じですが、「皮膚=爪」とは言えません。正しくは、爪は「皮膚の付属器官」なのです。
爪は死んだ細胞
さらに、爪に関する事実として、爪は「死んだ細胞」という点が挙げられます。
爪は、爪の根元(皮膚の下)にある「爪母(そうぼ)」という部分で「爪母細胞」が作り出され、「爪甲(そうこう)」(通常「爪」と言われる部分)となって指先方向に伸びていきます。
ちなみに爪甲は、爪母から生まれた時点で角質化しています。角質化とは、細胞を成長させる「核」がなくなる現象「脱核」が起こって「無核(核が無い)」となっているタンパク質からできた角質細胞になることを指します。
この脱核は、皮膚の角質細胞にも起こります。角質細胞が脱核して無核状態になると、それ以上は成長しないためにフケ・アカとなるのです。
爪は脱核しても抜け落ちることはありませんが、フケ・アカと同じく、細胞自体は成長しないため、「死んだ細胞」と捉えられます。
そのため爪は、酸素を取り入れて二酸化炭素を排出する「呼吸」は行わないのです。
爪は水分を通す
では、なぜネイルをすると圧迫感がある人がいるのでしょうか。
その答えのカギは、水分にあります。爪は死んだ細胞のため呼吸はしませんが、水分の透過性は高い性質があるのです。
さらには、水分を蒸発させる性質もあります。その水分の供給先は、爪の下にある皮膚部分「爪床」です。
そのため、ジェルネイルやマニキュアによって圧迫感がある場合は、皮膚からの水分をうまく蒸発できないために、爪内部の水分が通常よりも多くなっているのかもしれません。
また、ネイル・マニキュアに含まれる成分によっては、乾燥する際の収縮が強く、まるで「呼吸困難」のような圧迫感を与える原因になっている可能性もあるのです。
しかしこれらの圧迫感・違和感は、慣れてしまえばほとんど感じなくなるとされています。
オイルやクリームでネイルケアを行いましょう
「爪は死んだ細胞」とご説明しましたが、髪の毛もケアをしなければ乾燥してボロボロになるように、爪にもケアは必要です。
特に、ジェルネイルやマニキュアをしている方の場合、アセトンなどのリムーバーを使用することで自爪の水分・油分が奪われてしまい、カサカサの乾燥爪になってしまう懸念があるためです。
また、ネイルを頻繁にしていなくても、手洗いや水仕事、手先を使うことによる刺激などで爪は傷みやすくなっています。
今ある自爪の乾燥を防ぐ「保護」の意味でも、新しい爪を健康的に生やすためにも、爪とその周辺部分には専用のキューティクルオイルやネイルオイル・クリームを塗りこみ、水分・油分・栄養分をバランスよく与えるように心がけましょう!