夏だけに限らず、1年中脇汗に悩む方は、男女問わず珍しくありません!
ですがやはり日常生活において、シャツの色が汗ジミで変わってしまうことが恥ずかしかったり、周囲に汗臭いと思われていないかと心配になったりと、脇汗によって様々な弊害が起こることも事実です。
そこで活用されるのが、デオドラント・制汗剤や、脇汗を吸収するパッド、下着などの汗対策グッズ。しかしこれらをどれだけうまく取り入れても、脇汗の量自体が変わらなければ、根本的な解決とは言えませんよね。
そこでここでは、脇汗をはじめとした汗、また脇汗によるニオイが起こる要因をご紹介し、それらに付随した汗対策をご紹介します!
汗は体温調節に必要不可欠!
発汗は、人間が体温調節を行う上で必要不可欠な生理現象です。
主に気温や運動により体温が上昇した際、脳の視床下部が「汗を出す」ように命令を出すことで、人間は多量の汗をかきます。
汗は蒸発するとともに体温を奪い、上昇した体温を下げます。そうすることで、脳をはじめとした各体内組織が熱から守られているのです。
人間は「汗をかく(発汗)」作用を得たことによって、自らの体温を調節できるようになりました。そのため、人間のみが長時間、(ある程度の)激しい運動を続けることができると言われています。
残念ながら現在社会において「汗」は、あまり良いイメージを持たれません。しかし本来汗をかくことは、生命活動維持のために必要な働きなのです。
汗腺の種類
汗が出る部位「汗腺」は、2種類あります。それは「エクリン腺」と「アポクリン腺」です。
エクリン腺とは、全身の皮膚にほぼ存在しており、体温調節を行うために汗を出します。エクリン腺から出る汗は無色無臭。ですが皮膚表面で細菌と混ざると、いわゆる汗臭いニオイを発するようになります。
もうひとつのアポクリン腺は、毛穴奥の毛根部分に存在し、特に脇の下に多くあります。アポクリン腺から出る汗は白っぽく、たんぱく質・脂質・アンモニアを含むために独特のニオイを発します。
これがいわゆる「ワキガ」。ワキガはもともとフェロモンの役割があったとも言われています。アポクリン腺からの汗によるニオイは、エクリン腺からの汗のニオイとは根本的に原因が異なるため、クリニックでの治療方法があります。
多汗症とは
脇汗をはじめとした汗が多い人のなかには、「多汗症」を心配されている方もいらっしゃいます。しかし多汗症とは、通常の「汗が多い」レベルでは当てはまりません。
多汗症の場合は、手足・顔・脇などで、日常生活が送れないほどの汗の量がある疾患を指します。たとえば手のひらの多汗症の場合なら、一番レベルが高いケースでは「手の平に水滴ができて滴り落ちる」ほどです。
多汗症の原因は複数考えられますが、以下に代表的な多汗症の要因を挙げます。
【多汗症の主な要因】
・精神的ストレス・・・不安・緊張・ストレスによって交感神経が優位になることで発汗する。
・ホルモンバランスの乱れ・・・ホルモンバランスが乱れると、交感神経も乱れてしまうために発汗する。特に女性の場合、月経・妊娠・更年期に起こりやすい。
・何らかの疾患による併発・・・糖尿病やバセドー病、低血糖などの疾患を患っている場合、併発して全身から多量に発汗することがある。
脇汗が多い要因と対策
では、多汗症レベルではないものの、汗を多くかいてしまう場合は、どのような要因が考えらえるのでしょうか。主な要因とそれぞれの対策を以下に挙げます。
【要因1:食生活】
肉類や乳製品などの動物性たんぱく質や脂肪分を多量に摂取していると、体温上昇にともなって汗腺を刺激し、汗をかきやすくなります。
また、コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインやアルコールも、自律神経を乱して交感神経を活性化させるために、汗をかきやすい体質になります。
特に夏は、冷たい飲み物を飲んで汗を抑えようとしますが、これは逆効果。冷たい飲み物によって、上昇している体温が急激に下がると、自律神経が乱れてしまい、汗腺を刺激してしまうのです。
では体温を上げる辛い食べ物はと言うと、こちらも発汗を誘発します。トウガラシなどの辛い食べ物にはカプサイシンという辛み成分が含まれており、これが交感神経を刺激するためです。
食生活を正して汗を抑える対策としては、「大豆イソフラボン」の摂取が良いとされています。大豆や大豆製品を積極的に摂取し、偏った食生活を整えていきましょう。
【要因2:汗腺の弱り】
汗が多い原因が「汗腺が弱っている」からと聞くと、反対のように思われる方もいるかもしれません。
しかし普段は汗をあまりかかないために汗腺の働きが弱っていると、急激な体温変化やストレス時に自律神経が乱れてしまい、一度に多量の汗を出してしまうことがあるのです。
汗腺を適切に鍛えるためには、日常的に適度な運動を行い、入浴時は湯船につかり、自律神経を整えましょう。
※入浴時の注意点:高温のお湯に全身たっぷりとつかるのは、反対に汗腺が働かず、のぼせてしまいます。そのためおすすめは、38度程度のぬるま湯での半身浴。体の芯から温まることでじっくりと汗をかき、汗腺の働きを正常化させます。
【要因3:冷え性・内臓の冷え】
手足の冷えだけではなく、内臓が冷えている場合もまた、水分の排せつ機能がうまく働かないために汗を多量にかくようになります。
体を内側から温める食材(ショウガ、根菜類、発酵食品など)を摂取したり、適度な運動で筋肉をつけたりすることで、体の内側から冷えを治して水分代謝を促しましょう。
生活習慣の見直しで汗問題を改善!
脇汗が気になって好きな服が着られない、汗が恥ずかしくて人前に出ることがおっくうになる、など、たかが汗とは簡単に言えないほど、汗のトラブルはもはや社会的にも関心度の高い問題と言えます。
ですが食生活をはじめとした生活習慣を少し変えるだけで、体質までも変わり、汗の量以外にも体調が上向きになるメリットは大いに期待できます!
ただしもしもある時点から急激に汗をかくようになった場合は、なんらかの疾患が原因の可能性があります。懸念される場合は早急に医療機関を受診するようにしましょう。